両親が住んでいた家を売却する際の手順と注意点をわかりやすく解説
- 不動産売却コラム
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親が住んでいた家をどうするかは、相続が発生したあとに多くの方が直面する悩みのひとつです。自分はすでに別の住まいを持っており、空き家のまま維持するのが難しい場合には、売却を検討する流れになりやすいものです。ただ、思い出の詰まった実家を手放す決断は、単に不動産を売るという話では済みません。相続人同士の意見、名義の確認、税金、片付け、売却方法の選び方など、考えるべき点は意外に多くあります。
2025年時点では、相続登記の義務化をはじめ、不動産を相続した人に関わる制度面の変化にも注意が必要です。手続きを後回しにすると、売却したくても進められない場面が出てきます。ここでは、両親が住んでいた家を売却する際に押さえておきたい流れと注意点を、初めての方にもわかりやすく整理していきます。
目次
最初に確認したいのは売却できる状態かどうか
実家を売ると決めても、すぐに不動産会社へ依頼できるとは限りません。まず大切なのは、その家が法律上も実務上も売却できる状態にあるかを確認することです。相続した家は、親の名義のままになっているケースが少なくありません。この状態では、一般的にそのまま売買契約を進めにくいため、名義の整理が出発点になります。
名義が誰になっているかを確認する
確認先として基本になるのは登記事項証明書です。法務局で取得でき、土地と建物それぞれの名義人がわかります。親が亡くなったあとも名義変更をしていなければ、相続登記が必要です。2024年4月1日から相続登記の申請は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が求められています。これは不動産登記法の改正によるもので、2025年時点でも重要な確認事項です。
また、古い実家では、土地は父親名義、建物は母親名義、あるいは一部だけ祖父母名義のままという例もあります。こうした状態だと手続きが増えやすいため、早めに全体像を把握しておくと後の混乱を減らせます。
相続人が誰かを整理する
売却には、相続人全員の関与が必要になることがあります。遺言書の有無によっても進め方は変わります。遺言書があれば、その内容に沿って名義変更を進められる場合があります。一方で、遺言書がない場合は、戸籍をたどって法定相続人を確定し、遺産分割協議を行う流れが一般的です。
兄弟姉妹の誰かが遠方に住んでいたり、家を残したい人と早く売りたい人で意見が分かれたりすると、話し合いに時間がかかります。後から認識のずれが出ないよう、売却の理由、想定価格、費用の見込みなどを共有しながら進めることが大切です。
売却前にやっておきたい実家の整理
両親が長く暮らしていた家には、家具や衣類、写真、仏壇、書類など、多くの家財が残っていることが一般的です。売却では建物そのものだけでなく、室内の状態も見られます。そのため、片付けは精神的な区切りであると同時に、売却活動の準備でもあります。
処分を急ぎすぎない
実家の片付けでよくあるのが、感情が追いつかないまま一気に処分してしまい、あとで後悔することです。通帳、権利証、保険証券、契約書、貴金属など、財産や手続きに関係するものが残っている可能性もあります。まずは保管すべきものと処分を検討するものを分け、必要なら親族で確認しながら進めるほうが落ち着いて対応できます。
空き家の維持管理も考える
売却まで時間がかかる場合、空き家の管理も課題になります。換気や通水をしないと傷みが進みやすく、庭木が伸びれば近隣に迷惑をかけることもあります。固定資産税や火災保険の扱いも確認しておきたいところです。家の状態が悪化すると、売却価格だけでなく買い手の見つかりやすさにも影響しやすくなります。
売却方法は一つではない
実家を売る方法は、大きく分けると仲介による売却と、不動産会社による買取があります。どちらが合うかは、家の状態、立地、急ぎ具合、相続人の意向によって変わります。
仲介で売る場合の特徴
仲介は、不動産会社に買主を探してもらう方法です。市場で広く募集するため、条件が合う買主が見つかれば納得感のある価格で売れる可能性があります。その一方で、売却までに時間がかかることがあり、内覧対応や価格調整も必要になりやすいです。
築年数が古い実家でも、土地として需要がある地域なら売却しやすいことがあります。反対に、建物に大きな傷みがある場合は、古家付き土地として売るのか、更地にして売るのかも検討材料になります。ただし解体には費用がかかるため、事前に査定と見積もりを比べることが大切です。
買取で売る場合の特徴
買取は、不動産会社が直接買い取る方法です。仲介より価格が低めになる傾向はありますが、手続きが比較的早く進みやすく、残置物がある状態でも相談しやすい場合があります。相続人が多く、できるだけ早く現金化して分けたいときには、選択肢として検討しやすい方法です。
査定では価格だけで判断しない
実家の売却で失敗しやすいのは、最初に提示された高い査定額だけで依頼先を決めてしまうことです。査定額はあくまで見込みであり、その価格で売れるとは限りません。大切なのは、その価格の根拠が明確かどうかです。
複数の会社に相談する意味
不動産会社によって、得意なエリアや物件種別、販売戦略が異なります。複数社に相談すると、価格差だけでなく、販売方法や想定期間、必要な修繕の有無などの考え方も比較できます。担当者が相続不動産に慣れているかどうかも、相談のしやすさに関わります。
媒介契約の内容も確認する
仲介を依頼する場合は媒介契約を結びます。専属専任、専任、一般などの種類があり、他社へ同時に依頼できるか、自分で見つけた買主と契約できるかなどに違いがあります。内容を理解せずに進めると、あとで動きづらくなることもあるため、契約前に確認しておくと安心です。
税金の基本を押さえておく
相続した実家を売るときは、税金の理解も欠かせません。利益が出たかどうかは、売れた金額だけでなく、取得費や譲渡費用を差し引いて計算します。古い実家では、親が購入した当時の資料が見つからず、取得費が不明になることもあります。その場合は概算取得費を用いるケースもありますが、税額に影響しやすいため、資料探しは丁寧に行いたいところです。
相続空き家の特例に注目する
被相続人が一人で住んでいた家など、要件を満たす場合には、譲渡所得の特別控除が使える可能性があります。いわゆる相続空き家に関する特例です。適用には建築時期や耐震性、売却時の状態、相続開始から売却までの期間など細かな条件があります。制度は見直しが行われることもあるため、国税庁の最新情報や税理士への確認が役立ちます。
取得費加算の特例も検討材料になる
相続税を納めている場合には、一定の条件のもとで相続税の一部を取得費に加算できることがあります。これにより譲渡所得の計算が変わる可能性があります。どの特例が使えるかは、相続税の申告状況や売却時期によって異なるため、自己判断だけで進めないほうが無難です。
2025年時点で気をつけたい法制度のポイント
相続不動産をめぐっては、近年制度改正が続いています。とくに意識したいのが相続登記です。2024年4月から義務化され、正当な理由なく申請を怠った場合には過料の対象となる可能性があります。売却の予定がまだ先でも、相続した不動産の名義整理は早めに考えておくほうが現実的です。
また、相続土地国庫帰属制度という仕組みもありますが、これは不要な土地を国に引き取ってもらう制度であり、建物がある土地や管理状態によっては利用が難しいことがあります。実家の売却と並行して比較されることもありますが、広く使える制度とは限らないため、条件確認が欠かせません。
売却で揉めないための進め方
相続した実家の売却は、不動産の問題であると同時に家族の問題でもあります。価格そのものより、誰が片付けを担うのか、維持費を誰が立て替えるのか、売る時期をどうするのかで気まずくなることもあります。
費用負担を先に決めておく
登記費用、測量費、残置物処分費、修繕費、仲介手数料など、売却前後にはさまざまな費用が発生します。最終的に売却代金から精算するのか、いったん誰かが立て替えるのかを事前に話し合っておくと、感情的な対立を避けやすくなります。
連絡の記録を残す
口頭だけで進めると、あとで言った言わないになりがちです。大げさでなくても、査定額、方針、必要書類、今後の予定などは、メールやメッセージで共有しておくと認識をそろえやすくなります。相続人が複数いるほど、情報の見える化は大切になります。
まとめ
両親が住んでいた家を売却するには、単に買い手を探す前に、名義、相続人、家財整理、維持管理、税金、法制度といった複数の論点を順番に整理していく必要があります。特に2025年時点では、相続登記の義務化を踏まえ、名義変更を後回しにしないことが重要です。
実家の売却は、思い出の整理と現実的な手続きを同時に進める場面でもあります。焦って進めるより、登記や税務の確認を行い、不動産会社や専門家の意見も聞きながら、自分たちに合った進め方を選ぶことが大切です。家族で情報を共有し、準備を整えたうえで売却に向き合えば、納得感のある判断につながりやすくなります。
