
中古マンションの売り出し価格は『こう決める。』
- 不動産売却コラム
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不動産を売りに出すときに、まず最初に決めるのが『売り出し価格をいくらに設定するか』という点です。価格が高過ぎれば買い手がつかず、安過ぎれば本来得られるはずの利益を取り逃がしてしまうことになります。
適切な売り出し価格を決めるには、相場の確認、立地、築年数、間取りなどの条件を総合的に判断する必要があります。本記事では実際に中古マンションの売り出し価格を決める際のポイントを整理して解説します。
目次
まずは相場を知る
SUUMOのマンションの売却価格相場が参考になります。
例として神奈川県横浜市で人気のある住宅街、青葉区を見ていきましょう。
販売されている物件の面積は50m²〜80m²、販売価格は2,000万円から6,000万円、築年数の多くは20年以上経過しているものが多いです。
これらから見えてくることは以下のようなことです。
- ファミリー向け物件だが比較的狭くてもいい
- 築年数が古くても買い手がいる
- 平均4,000万円くらいのマンションが売れている
条件は妥協しながらも金額が抑えられたマンションが求められています。
しかし、駅からの距離だけは15分以上かかる物件の需要は少なく、売れにくいということがわかります。
ご自身の物件が60m²、築25年、駅から15分以内であれば概ね平均値である4,000万円でも買い手がつくかもしれません。
一方、駅から15分以上かかる物件では買い手がつきにくいため、少し、価格を下げる必要が出てくるかもしれません。
神奈川県横浜市、青葉区でマンションを買う人が譲れない条件として最も多いのが『駅近』であるということです。
マンション構造には大きく分けるとSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、RC造(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)とあります。耐用年数や、防音性などに優れるSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は高く売れやすいですが、S造(鉄骨造)は価格が落ちやすい傾向があります。近隣の競合物件を見ながら金額に反映するといいでしょう。
構造についてのそれぞれの特徴を以下にまとめます。
構造区分 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) | 47年 | 高層マンションで使われる耐震性が高い構造 |
RC造(鉄筋コンクリート造) | 47年 | 中〜高層マンションで使われる耐震性が高い構造 |
S造(鉄骨造) | 27〜34年(鋼材の厚みによって異なる) | 低〜中層マンションで耐用年数は上の二つより劣る |
駅から遠い物件は価格を少し抑えた方がいいかも
マンションを購入する際に最も多くの人が気にするのは『立地』です。特に駅からの距離は価格を左右する大きな要因です。
生活利便性、交通利便性が悪いこともあり、購買意欲の最も高い子育て世代には敬遠されやすい要素です。さらに投資資産として購入する場合も借りてがつかないリスクがあります。そのため、金額を少し落とした売買価格設定を考える必要もあるでしょう。ただ、リフォームなどによって居住性の向上を行っていたり、商業施設・学校・公園などが近くにある場合はあまり、デメリットと考える必要はないかもしれません。
売り出し価格は値引きを前提に決める
買主にとってマンションの購入はそう何度もあることではなく、慎重に購入します。
その際には必ずと言っていいほど、値引き交渉がつきものです。5〜10%程度は交渉の余地を残して販売価格を決めましょう。一般的には都市部で売れやすい物件は5%程度、駅から遠くなかなか買い手がつかない場合は10%までのお値引きが多いです。以下は金額ごとの5%、10%値引きを想定した売り出し価格の一覧表です。
5%の値引きを想定した販売価格一覧
希望売却額 | 売り出し価格の目安 |
---|---|
3,000万円 | 約3,158万円 |
3,500万円 | 約3,684万円 |
4,000万円 | 約4,210万円 |
4,500万円 | 約4,737万円 |
5,000万円 | 約5,263万円 |
5,500万円 | 約5,789万円 |
6,000万円 | 約6,316万円 |
6,500万円 | 約6,842万円 |
7,000万円 | 約7,368万円 |
7,500万円 | 約7,895万円 |
8,000万円 | 約8,421万円 |
10%の値引きを想定した販売価格一覧
希望売却額 | 売り出し価格の目安 |
---|---|
3,000万円 | 約3,333万円 |
3,500万円 | 約3,889万円 |
4,000万円 | 約4,445万円 |
4,500万円 | 約5,000万円 |
5,000万円 | 約5,556万円 |
5,500万円 | 約6,111万円 |
6,000万円 | 約6,667万円 |
6,500万円 | 約7,222万円 |
7,000万円 | 約7,778万円 |
7,500万円 | 約8,333万円 |
8,000万円 | 約8,889万円 |
早く売りたい場合は価格を少し下げてみる
売主側も新居購入の資金に充てたり、転居や引越しが決まっていて期限までに現金化したかったり、二重ローンの負担をさけたいなど、さまざまな理由から早く物件を売却したいケースもあるかと思います。
不動産の売却は一般的には3ヶ月程度とされていますが、どうしても早く売却したい場合は売却希望額や不動産会社の査定額から5〜10%程度、下げてみるのもいいかもしれません。
手取り額を考慮しておく
マンションを売却してもその額を売主が全て受け取れるわけではありません。
マンション売却額からの引かれものとは?
マンション売却時の引かれものには以下のようなものがあります。
- 不動産会社の仲介手数料
- 印紙税
- 諸経費
- 譲渡所得税
不動産売却では、仲介手数料や印紙税、譲渡所得税などの諸費用が想像以上に差し引かれることも少なくありません。
必ず、ご自身の受け取りたい金額も考慮した価格設定を行いましょう。
手取りの計算は『不動産を売却時の手取りを自動計算。手取りシミュレーター』にて簡単に行えます。
複数の不動産会社に査定してもらう
マンションの査定額は、条件が近い物件や売買事例が多いことから不動産会社の査定では大きな差が出ることはあまりありません。築年数、階数、方角、専有面積、リフォームの有無などの査定項目も同一であることが多いことも理由です。
注意が必要なのは査定額が高くてもその価格で売れるということではありません。結局、買い手がつかないことには現金化はされませんので、査定を行った不動産会社に査定額の根拠を聞いておく必要もあるでしょう。
また、販売力、広告戦略、交渉力のある不動産会社を選べば査定額より高めに売却できる場合もあります。
販売を仲介してもらう不動産会社選びは慎重に行いましょう。
まとめ
マンションの売却において、とても重要な「適切な売り出し価格をどう設定するか」は、相場や立地、築年数、構造などを考慮しつつ、駅からの距離や需要を加味することが欠かせません。特に駅近は資産価値が維持されやすく、反対に駅から遠い物件は価格を抑えて販売する工夫が必要になります。
また、売却価格は必ずしも手取り額と一致しないため、仲介手数料や税金などの諸費用を踏まえた「手元に残る金額」を意識した設定も大切です。さらに、買主の多くは値引きを前提に交渉を進めるため、5〜10%の余地を見込んで価格を決めておくことも大切です。
また、不動産会社の販売力にもよっても売却額は変わってきます。複数の会社に査定を依頼し、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の近道です。